うまげな話

オーディオと魚料理、さぬきうどんが好きな天邪鬼オヤジの日々

1年の終わりに思う / さぬきうどんの現状から

 最近、香川県内のうどん店にひとつの憂慮すべき傾向がある。空前のさぬきうどんブームがやや下火を向かえつつある中、資本の大きなチェーン店の開店ラッシュが続いている一方で、個人経営の名店の閉鎖が続いている。個人のうどん店の経営は思いのほか大変で、苦労の割りに利潤は少ない。コンビニでレジを打っているほうが収入がいいとまで言われることもあるようだ。しかし、大資本はさぬきうどんブームを見て、金になると思うと、どんどん出店し、アルバイトを雇い、原材料の大量仕入れで値段を抑え、個人の店に打撃を与える。このままではさぬきうどんの店がファミレス化してしまう。
 このような事態を生んだのはもちろん、小泉元総理・宮内氏主導の規制緩和、市場競争原理であり、アメリカの生んだ投資ファンドであろう。大型ショッピングモールが個人商店を圧迫しているのとまるで同じである。大資本は正規労働者を雇用せず、非正規を組み合わせて長時間営業を行う。個人経営で長時間営業をすると、体が持たない。大資本は個々の人間を単なる機械のようなコマとしか扱っていないように思える。結局、経営者を中心とした1部の人たちだけが豊かになっていく。また、何でもかんでも、効率重視で民営化していくのもいかがかと思う。1流企業であっても、経営陣にモノが言える環境ではないようだ。経営陣は自分に都合のいいことだけを言ってくれる社員を残し、苦言を呈する社員は排除される。その結果が多くの企業の倒産、不正を生んでいるのではないだろうか?大王製紙オリンパスしかりである。
 さらに、大阪市長をはじめ地方の首長の何名かはさらに効率化、競争原理を推進しようとしているようだ。結局何が残るのか?ごく少数の勝者と多数の敗者を作るだけではないだろうか? 国際競争に勝ち残るための人材を養成したいと誰が言ったのだろうか?自分の子供には平凡で、幸せな人生を送ってもらいたいし、経済、語学の知識より、思いやりのある人間になってもらいたい。自分の子供を大企業のコマにしたいと思っている人がいるのだろうか?大企業のコマとして役立つための教育など受けてほしいとは思わない。
  日本の美徳は「和」の精神であるはず。他者と関係ない絶対的競争(例えば新しい科学技術の開発など)は悪くないとは思うが、全国何位といった相対的競争はいかがなものか?必ず最下位ができるんだから。家電販売店もうどん店も必要以上の数はいらないはず。競争に負けるヤツが悪いというのはたやすいが、全員が勝てることは決してない。最大多数の幸福を祈る僕は幸せ者だろうか?日本は現在、震災、原発事故、不況と困難な状況が山積しているが、国民一人ひとりが大衆扇動タイプの発言に注意して、幸せで安心な社会を作るためには、経済的負担が必要だということを自覚しなければならないことは言うまでもないが。
 年末に「たみ屋」が、年明けには「斉賀製麺所」が閉店。一方で高松に「丸亀製麺」が1月に出店。さみしい知らせばかりである。
ともかく、1人では多くの人が幸せを感じられる世の中になることを期待します。